残雪の中でも顔を出す!ばっけの魅力

ばっけ雌花画像 山菜・山野草

バッケって危険なの?

ばっけで食中毒?

料理屋で食べた「ばっけ」の天ぷらが、ことのほか美味しく、家の周りに生えているバッケを採って、自分で天ぷらを揚げて食べたところ、嘔吐、けいれんを起こし病院に行ったと、身内から連絡があった、という話を友人から聞いた。

彼も、ちょうど春の味を楽しもうと、その日バッケを採ってきていた。天ぷらにでもしようかと、カミさんと話をしていた時、その電話があったので怖くなって捨ててしまったという。

だが、しかしバッケでの食中毒など、今まで聞いたことがない。

話をしている近くにバッケがあり、こっちがオス、こっちがメスと説明しながら「オスには毒がある。絶対に食ってはいけない。」と現物を触りながら熱く語る。

葉が開く前のばっけ
葉が開く前のばっけ

どうにも解せない。その後、何人かにも聞いたのだが、全員、そんな話は聞いたことがないとのこと。

今や、フキノトウをビニールハウスで栽培し、販売している時代だ。

栽培農家も料理人も、フキノトウの蕾が葉に包まれた状態の、それも花が開く前のオス、メスの見分けなどできもしないし、わざわざ、つぼみを開いて確認など、しもしないだろう。

後日談で、根っこまで天ぷらにしたとのこと。そもそも、フキノトウの根っこを食用にするのかってはなしなんですが。フキノトウの根っこを食う?、何と勘違いしたのだろうか?

自力で病院に行き、医師からは今日一晩泊まっていったら、と言われたらしいが、結構ですと車で帰ってきたとのこと。何より軽症で良かったですよ。

バッケが本当に食中毒の原因なのか?

美味しそうな野草には要注意!

ばっけと間違えやすい毒草に、ハシリドコロがある。

https://ameblo.jp/office-dior-maria/entry-11502562515.html

確かに似ている。ハシリドコロをバッケと間違えて起こる中毒は全国的に発生している。

事例の紹介(2)
ハシリドコロによる食中毒(平成23,28年4月発生)[概要]
【平成23年4月発生】
県内の農産物直売所で販売されていた山菜を購入し、自宅で調理して食べた5人が、めまい、意識障害等の神経症状を呈するという食中毒が発生しました。【平成28年4月発生】
県内の山林で採取した山菜を自宅で調理して食べた2人のうち1人が意識不明、1人が意識混濁状態となり、医療機関に搬送された。[ハシリドコロの特徴]
自生場所:本州から四国、九州のやや湿り気のある林床や沢沿いに自生する。
誤食部位:葉、根など。新芽をフキノトウやタラの芽などの山菜と間違えることがある。
発症時期:1から2時間で発症
症状:誤食するとほろ苦く、思いのほか美味であるが、後に嘔吐やけいれん、昏睡などの中毒症状を発症する。
[間違いやすい植物] フキノトウ、タラの芽、ハンゴンソウなど
岐阜県ホームページ 有毒植物による食中毒 事例の紹介(2)

最初の事例。農産物直売所で購入した山菜での事故は気の毒というしかない。「思いのほか美味」とあるので食べた時には気付きにくいのだろう。

フキの毒性については、問題にするほどのことでもない。農林水産省のホームページには、「健康被害は、日本では報告されていません。」と書かれている。

ふきやふきのとうを食べたことによるピロリジジンアルカロイド類が原因と疑われる健康被害は、日本では報告されていません。ふきやふきのとうは、しっかりとあく抜きをすれば、大量に食べたり、食べ続けたりしない限り、健康への悪影響の懸念はないと考えられます。
農林水産省知識があればこわくない!天然毒素食品中のピロリジジンアルカロイド類に関する情報

友人の親戚が食べたのは、ハシリドコロをバッケと間違えて誤食した可能性が高い。フキノトウの根っこまで食べたということなので、100%とは断定できないのだが。

誤食を防ぐには、正しい知識はもちろんだが、多くの山菜の場合、香りを嗅ぐというも、一つの方法ではある。ハシリドコロにはフキ特有の匂いがないらしい。というか、フキにはフキ特有の匂いがある。

絶対に食用の野草と確実に判断できない植物は食べてがいけません。

秋田蕗

バッケの話なのだが、秋田蕗のことを少し語らねばならないだろう。アキタフキはフキの変種で、とにかく大きい。

秋田音頭の1節に

コラ 秋田の国では 雨が降っても
唐傘などいらぬ(アーソレソレ)
手頃な蕗の葉 さらりとからげて
サッサと出て行がえ

ちなみに、秋田音頭。西馬音内盆踊りで使わる歌詞を「地口」と呼ぶ。詳しくは羽後町ホームページ

羽後町ホームページ 西馬音内盆踊りの歌詞

なかなかに、エロい歌詞が使われたりもする。今は知らんけど、夜遅くになるにつれ、エロっぽいものが多くなるという話を聞いたことがある。まあ、酒も入ることだろうし、なにより子供の前では披露しづらいはな。

アキタフキの調理法というと、砂糖漬けにした菓子。それぐらいしか思いつかないのは、あの大きさゆえなのか?

蕗の薹(ふきのとう)の俳句

蕾とはなれも知らずよ蕗の薹      与謝蕪村
蕗の薹福寿草にも似たりけり     正岡子規
白紙に包みし土産蕗の薹       高浜虚子
蕗の薹おもひおもひの夕汽笛ゆふきてき      中村汀女
蕗のとう、あれから一年たちました  山頭火
かんな屑のかろさよ蕗の薹がでた   北原白秋
山峡をバスゆき去りぬ蕗の薹     三好達治
日あたりや蕗より繁き蕗の薹     森鴎外
ほろ苦き恋の味なり蕗の薹      杉田久女

最後の、杉田久女の俳句。ちょっと胸キュン。

フキノトウ(ばっけ)の花言葉

フキノトウ群生

「待望」「愛嬌」「仲間」「真実は一つ」「処罰は行わなければならない」

「待望」 雪解けを待たずに春先に芽吹く姿からつけられた花言葉です。厳しい冬を越え、ようやく食べられる新鮮な野草という意味でも合います。

「愛嬌」 顔を出したばかりの芽吹く姿がほほえましく、小さな花のつぼみが集まっている、丸っこく可愛らしい姿から付いた花言葉です

「仲間」 春先に一箇所に現れると、他の場所にも次々と顔を出す団結力の強さと、複数で生える様子から付いた花言葉です。

「真実は1つ」フキの花言葉「公正な裁き」に絡めたもので「フキノトウ」は、緑がほとんどない早春の枯れ野に、ぽつんと現れます。その姿は、曖昧な供述を取り除き、たった1つ残った事件の真相のようでもあります。「私を正しく認めてください」の花言葉も、同じ意味なのでしょう。

「処罰は行わなければならない」フキノトウの根に毒があることに由来です。

「ふきのとう」は別名、「フキノシュウトメ」「フキノシュウトメ」という呼称があるようで、その語源については、「苦味があるから」とか「出しゃばった姑も踏みしめるのがよい」「麦と姑は踏むが良い」といって麦踏みに由来しているようだとのことだが、定かではない。

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