美しくも悲しい花、福寿草
福寿草は、スプリング・エフェメラル:春の妖精
「スプリング・エフェメラル」とは、春に花を咲かせ、夏に葉を茂らせた後、地下で休眠する草花の総称であり、「春植物」とも呼ばれます。
直訳すると「春のはかないもの」。「春の妖精」とも呼ばれます。
春のはかなげでかわいらしいスプリング・エフェメラル、まだ肌寒い季節に一気に花を咲かせ、種を残していく、たくましさもあります。
スプリング・エフェメラルには、カタクリ、フクジュソウ、ニリンソウ、キバナノアマナ、エゾエンゴサクなどがあります。
福寿草(フクジュソウ)の花言葉
花言葉は、永久の幸福、思い出、幸福を招く、祝福、悲しき思い出
福寿草にまつわる悲しいお話。
昔々、蝦夷の国に美しい姫君、クノウ姫がいました。クノウ姫が大人になると、父神は、素敵な婿を探すために懸命に探し回ります。
多くな神々を、見て回りましたが、姫にふさわしい婿は、なかなか見つかりません。そこで、地上に降り、地中に住むモグラの神に出会います。父神は、クノウ姫の似合いの婿だと思います。モグラの神もクノウ姫を、ぜひとも、妻にしたいと思い、婚約が成立しました。
しかし、クノウ姫は明るい太陽が大好きでした。モグラの神との結婚が、嫌で嫌でたまりません。それでも、父神の言いつけは逆らえません。クノウ姫は泣く泣く地上に降りて、結婚式を挙げることになってしまいます。
結婚式の日、多くの神々が集まり宴が開かれました。しかし、クノウ姫は、姿を消してしまいます。皆で探していると、荒野で泣いている、クノウ姫を見つけます。
モグラの神は激怒し、「お前は、父神の言いつけを守らず、騒ぎを起こした。お前は、もう天上には戻れない。地上の草となって暮らすがいい」と、クノウ姫を激しく折檻し、クノウ姫は、そのまま福寿草へと姿を変えます。
それからは、モグラが地下で眠る早春に、天上へ帰ることを夢見ながら、陽が昇ると黄色い花を咲かせ、天を仰ぐようになりました。そのことから福寿草を、姫の名前をとって、クノウと呼ぶようになったということです。
アイヌの神話です。まるで、ギリシャ神話のような生々しさを感じてしまう、至極、人間臭さい、悲しいお話です。
福寿草(フクジュソウ)は、雪解けを告げる春の花です。