幸福を運ぶ黄色い花!福寿草

福寿草アップ画像 山菜・山野草

福寿草(フクジュソウ)

我が家で春一番に咲く花が福寿草。

フクジュソウ

フクジュソウは、早春に黄金色の花を咲かせることから、一番に春を告げるという意味で「福告ぐ草(フクツグソウ)」という名前が江戸時代に使われ、その後、告ぐが「寿」に差し替えられ「福寿草」となったものと言われています。

また、旧正月の頃に花を咲かせることから、「朔日草」 (ついたちそう)」「歳旦華 (さいたんげ)」「元日草」「正月花」「賀正蘭」「報春花」など縁起物の花として古くから栽培されてきた歴史があります。

福寿草(フクジュソウ)の種類

日本のフクジュソウ属は、過去には、フクジュソウAdonis amurensis1種とされていたこともりますが、現在では、エダウチフクジュソウ、ミチノクフクジュソウ、キタミフクジュソウ、シコクフクジュソウの、4種に区別されています。

フクジュソウ(エダウチフクジュソウ)は、北海道から九州にかけて、全国的に自生しています。茎が中身が詰まった、中実であることが特徴。フクジュソウといえば、一般的に、これを指します。

キタミフクジュソウは、自生地が北海道東部に限られ、多毛であり茎が中身が詰まった中実で、一株に1輪しか花を付けない点が特徴です。

ミチノクフクジュソウは、自生地が東北から九州にかけてであり、茎が中空で、萼が花弁の半分程度であることが特徴。我が家に咲いているのは、このミチノクフクジュソウです。

シコクフクジュソウは、自生地が四国及び九州の一部に限られ、全草無毛で、茎が中空であることが特徴です。

鉢植えや盆栽の福寿草は、福寿海のことを指します。江戸時代から作られている古典園芸植物で、 ミチノクフクジュソウとエダウチフクジュソウをかけ合わせたものや、緋色や緑色の花をつける品種など、多彩な品種が存在しています。

福寿草(フクジュソウ)を題材とした俳句や短歌

・何もなき床に置きけり福寿草 高浜虚子
・日のあたる窓の障子や福寿草 永井荷風
・朝日さす弓師が家や福寿草  与謝蕪村
・煖炉たく部屋暖に福寿草 正岡子規
・病室の煖炉のそばや福寿草 正岡子規

・福寿草(さちぐさ)を縁の光に置かしめてわが見つるとき心は和ぎぬ 斎藤茂吉

これらの俳句や短歌は、自生しているフクジュソウではなく「福寿海」を読んだものでしょう。

福寿草(フクジュソウ)の特徴

福寿草のつぼみ
福寿草のつぼみ

フクジュソウは雪解けとともに、地表にツボミと芽を出し、数cmの高さで黄金色の花が開く。2~5月には、新葉の伸びないうちに茎の先端に黄金色の、花弁が20~30枚萼片が数枚からなる花が咲きます。

やがて草丈は15~30cmにもなり、花が終わると、金平糖に似た果実をつけ、根はゴボウのようなまっすぐで、太いものを多数持っている。

曇天で花が閉じた福寿草
      曇天で花が閉じた福寿草

花期は4~5月頃で、花は陽が当たると開き、日暮れや夜間、曇天は閉じてしまいます。花は太陽の光を反射して虫を誘い、受粉を行います。6月頃には葉が枯れ、休眠期に入ります。

花を観察するには、育つ環境によって、花見頃の時刻は異なるものの、晴天日の正午過ぎが良いでしょう。

福寿草(フクジュソウ)は準絶滅危惧種

日本レッドデータ検索システム
ミチノクフクジュソウ
学名: Adonis multiflora
分類: 離弁花類 キンポウゲ科
環境省カテゴリ: 準絶滅危惧(NT)
絶滅危惧1類:茨城県、群馬県、山梨県、福井県、鳥取県、岡山県、島根県、鹿児島県
絶滅危惧2類:青森県、岩手県、栃木県、岐阜県、熊本県
ミチノクフクジュソウ
学名: Adonis multiflora
分類: 離弁花類 キンポウゲ科
環境省カテゴリ: 準絶滅危惧(NT)
絶滅危惧1類:茨城県、群馬県、山梨県、福井県、鳥取県、岡山県、島根県、鹿児島県
絶滅危惧2類:青森県、岩手県、栃木県、岐阜県、熊本県
日本レッドデータ検索システム ミチノクフクジュソウ

ミチノクフクジュソウだけではなく、フクジュソウ(エダウチフクジュソウ)キタミフクジュソウ、シコクフクジュソウの、すべてが、レッドデータブックに指定されている準絶滅危惧種であり、自然保護の対象となっています。

福寿草(フクジュソウ)の毒性

福寿草を触っても害はでませんが、体内に入ると毒になります。福寿草(フクジュソウ)の根に含まれるアドニトキシンには強心作用があり、古くから民間療法として利用されてきました。

福寿草

しかし、少しでも用法・用量を間違えると死に至る危険があることから、毒草に指定されています。

地面から芽を出したばかりの頃は。フキノトウと間違えて誤食しやすいほか、若葉がヨモギの葉に似ていることなどから、中毒事例が報告されています。

症状は嘔吐、呼吸困難、心臓麻痺などで、重症の場合は死亡します

山菜やキノコなど、自生する植物などの、素人判断は、時として、命の危険にさらされるということを、肝に銘じるべきです。