幻の山菜!行者にんにく

行者にんにく 山菜・山野草

幻の山菜、行者にんにくとは?

雪国にとって春の訪れの感じ方は、人それぞれだろうが、吹いてくる風で冬から春への変化を感じる。それまでの、直線的で痛みを感じるような冬の風に比べ、柔らかでウェーブのかかったような春の風。そして、春の匂い。

そんな中、我が家で一番に芽を出す山菜が、ギョウジャニンニクです。

自生する行者にんにくは日本では北海道から本州の近畿地方(奈良県)にかけて分布するそうです。

にんにく、名前の由来

行者にんにく2本
       芽吹き始めた行者にんにく

行者にんにくという名前の由来は、山にこもる修験道の行者が荒行の合間に強壮のために食べていたからとも、逆に滋養が付きすぎて修行にならないため、食べることを禁じられたからとも言われています。

ギョウジャニンニクを、漢字で書くと、行者大蒜、行者忍辱、行者葫、行者大蒜。
別名:キトビロ、ヤマビル、ウシビル、エゾネギ、ヤマニンニク、エイザンニンニクなど。北海道では、「アイヌネギ」と呼ぶことがある。

行者にんにくの特徴

行者にんにくは地際の茎が赤い
    行者にんにくは地際の茎が赤い

ニラのように光沢のある葉と、根本の茎のはかま部分が赤いのが特徴。そして、ニンニクのような強い香りがあります。

種子は20 – 25度が発芽適温で、気温10度では発芽が難しく30度になると発芽しないなど、生育環境が限定されます。

若い行者にんにく
葉が一枚の若い行者にんにく

ギョウジャニンニクは成長が非常に遅く、種を蒔いてから2年目の春にようやく芽を出します。それも、頼りなげな細い茎に葉は1枚だけ。

3年目から4年目になって葉が2枚以上となり、5年目あたりでようやく茎が伸びて花が咲き種がつき始めます。花が咲くまで7年懸かるとも言われています。

開花期は、6 – 7月ごろ、長い茎を出して白色または淡紫色の小さな花をつけ、ネギ坊主のような形をしています。その後、黒色の球形の種子となります。

行者にんにくの採取方法

収穫時期は4月~5月頃。 葉っぱが垂れてしまう前の、柔らかい若葉の頃に収穫します。

年代物の行者にんにく
年代物の行者にんにく

根元から2~3cm茎を残して採ります。茎を残して、翌年の収穫に備えます。
行者ニンニクは、1か所の葉鞘から年数を経るごとに、葉の数が増えていきます。葉っぱが1枚のものは、株がまだまだ充実していないので、採取してしまうとそのまま枯れてしまうこともあります。

2枚以上になったものを採取するようにします。ただ、行者ニンニクは成長が遅いので、すべて採ってしまうと、株が急激に弱ってしまったり、翌年に1つも収穫できないということがあります

そうならないよう、ある程度は、採取可能な葉も残しておきます。

行者にんにくの栽培法

ギョウジャニンニクの増やし方は、種からと株分けの方法があります。

株分けの場合、行者にんにくを、春か秋になったら一度掘り起こし、根元から株を分けて植え直します。株分けの方法は、根を切らないように掘り上げ、親株の周りの新しい茎を手で割って、分けて植えます。

植え付け後の行者にんにく
植え付け後の行者にんにく

種は、花が咲き終わり、種の殻が割れるのを待ってから採取します。ただし、種からの栽培は、ことのほか難しいものです。

ギョウジャニンニクは、密植したほうが元気よく育つため、株間は5~10cmとやや狭めにして植えつけ、最後にたっぷりと水を与えます。

我が家では、株分けしたものを林の中に植えつけ、天然に近いかたちで育てています。俗に、植えっぱなしともいいますが。

行者にんにくの栄養

行者にんにくの独特の強い匂いには、多くの薬理成分が含まれているとされています。

取り立てのザルの上の行者にんにく
採りたての行者ニンニク

アリシン

ギョウジャニンニクには、ニンニクよりも多いアリシンが含まれます。アリシンは、ニンニク由来の化合物で、にんにくや、ねぎなど香りの強い野菜に含まれている香気成分です。

また強い殺菌作用があり、免疫力を高め、がんの予防にも効果があると言われています。更に、血行促進により、冷え性や動脈効果、血栓の予防にも効果的とされています。

生のニンニクを煮たり炒めたりした時の臭いの元となる物質でもあります。

β-カロテン
ギョウジャニンニクの葉の部分にはβ-カロテンが多く含まれます。β-カロテンが多い食品は、にんじん、ほうれん草、かぼちゃなどの緑黄色野菜や、かんきつ類、スイカなどの果物です。

抗発ガン作用や免疫賦活作用で知られています。喉や肺など呼吸器系統を守る働きがあるといわれています

ビタミンK
ギョウジャニンニクに含まれるビタミンKの量は、生鮮食品の中でもトップクラスです。ビタミンK が多い食品は、海藻、しそやモロヘイヤなどの緑黄色野菜に多く含まれています。

ビタミンKは、出血した時に血液を固めて止血する因子を活性化します。また、骨の健康維持にも不可欠で、骨にあるたんぱく質を活性化し、骨の形成をうながすことも知られています。