食用キノコと間違え苦しみ抜いた顛末記
1日目 きのこ狩り
いつもの年であれば、きのこ採りには早いのだが、今年は冷夏、長雨。 であれば、きのこの生えている可能性が高いと思い立ち、9時過ぎに家を出て山へ向かう。ここいらで、 アミコ(ヌメリイグチ) と呼ばれるキノコを、大き目の買い物袋で半分ぐらいと、 ラクヨウ(ハナイグチ) が7,8本ほどか。 目方にしたら4kgほど(昔風に言えば、1貫目?)。 実質、山に入っている時間は1時間チョイと言ったところだから、初めてにしては上々の量。
ヌメリイグチ(アミコ)
イグチと名の付くキノコは、傘の裏が細かいスポンジ状になっている。アミコの名は、このキノコの裏側が細かい網目状に見えるため、名付けられたのだろう。また、このような特徴の持つキノコに毒を持つものは無いので、安心して採れるキノコでもある。
ハナイグチ(ラクヨウ)
ラクヨウの名は、唐松(ラクヨウ)の下で見つかることが多いので、この名で呼ばれるようになったのであろう。アミコとラクヨウの違いは、焦げ茶色っぽいのがアミコ、黄色っぽいのがラクヨウと呼ばれる。
ナラタケのようなキノコは、鍋で煮ているうちに一気にカサが減り、あんなに摂ってきたのにと残念な思いをするが、アミコやラクヨウは、摂ってきた時と変わらず、ほとんど量が減らないのが嬉しい。
ナラタケ
ナラタケ、ここいらでは、ボタシ、モタシと呼ばれ、岩手に行くとボリ、北海道ではボリボリと呼ばれる。癖もなく食感も良く、味の良いキノコである。キノコの王様と呼ぶ人もいる。
ラクヨウは、採りたてを料理しても独特の匂いがある。気にしない人もいるが、どうにも苦手である。アミコ、ラクヨウを塩蔵し塩出しして使うと匂いも消え、肉厚でヌルヌルツルツルというか、独特の食感を楽しめる。鍋物や納豆汁などには、最高の食材となる。
しめじ見っけ。まずは試食。
ただし、アミコやラクヨウの出始めのものは、大きいものが多いのだが、 傷みが早く腐っている物や、虫に食われている物も多い。それが、寒くなるにつれ小ぶりで身も固くなり、良いものが出てくる。
シメジ系統と思われるきのこがあちこちに生えている。これが、見るからに美味そうで、色は、傘の色が灰褐色、裏が放射線状になっている。 柄がふっくらと太っていてまっ白で中空。それが、小さ目のスーパーの買い物袋、1つぐらいの量が採れた。
帰りにスーパーでカレーライスを買い、帰宅したのが1時過ぎ、 無性に腹が減っててカレーのほかに、ご飯を一膳。どうも、時間がずれると胃袋もバカになるようだ。
さて、問題のシメジに似たきのこ。きのこ採りのバイブルとでもいうべき、「秋田きのこ図鑑(畠山陽一著)」 がいくら探しても見当たらない。 インターネットでも調べてみたのだが、似たようなものが見は見つからない。 が、大丈夫そうな感じもする。分からない物は、口にしないのが鉄則。なのだが
「エーイ!物は試し」と、 1度噴きこぼしてから醤油、酒、砂糖で味付けをして小皿に取り分け、 本数にして5,6本か・・、はっきり言ってマズい。きのこの胞子臭いというか、カビ臭いというか。シメジにしては、マズ過ぎ。 これは、油炒めにしたほうが、良かったか?あくまでも毒見なので、食すのは自分のみ。 これが午後2時30分ぐらい。
そのあと、約1時間近く昼寝をした。目が覚めると、胃もたれのような、食べ物が消化しきれてない感じがする。「昼飯、食い過ぎたからなぁ」などと思いながら、再びインターネットで、毒きのこを調べていたりしたのだが、 マア、大丈夫だろうとタカをくくっていた。
しかし、5時くらいから腹がすこし膨れてきた感じがする。それから徐々に、膨満感というか、腹の膨れ具合の度合いが大きくなってくる。5時30分、軽いむかつきを感じて、トイレへ。入った途端に、嘔吐。特別苦しいわけではない。 が、昼飯のカレーの匂いが鼻を突く。口をゆすいで、少し休むも、再び嘔吐感が襲う。
2回目のトイレ。今度は勢いよく嘔吐。太い水道管のバルブを一気に開けたような感じ。まだ、カレーの匂いがする。 そのカレーの匂いが、よけいムカムカ感を誘う。ごく軽い目まいのような感覚が襲う。吐いた直後なので胃に痛みを感じる。こりゃ、まずいもん食ったかな、と思ったが後の祭りとはこのこと。
胃腸薬を飲み横になるが、すぐに再びムカムカ感が襲い、トイレに。さっき薬と一緒に飲んだ水が、勢いよく口から飛び出す。胃の中は空っぽのはずなのに、食欲はゼロ。飲む気、食べる気にならず7時30分、就寝。
気のせいなのか、かすかに、手足にしびれるような感覚が。それと左耳の奥で、血液の流れる「ドク、ドク」というか「ゴリ、ゴリ」というような不快音がする。 寝つくには、いつもより時間が掛かったものの、そのまま寝入ッてしまった。