春を告げる花 ばっけ=フキノトウ
「ばっけ」って、どんな花
早春の雪解け後、浅緑色の丸いボンボリをつける、「ばっけ」。フキノトウのことをさす。秋田の「県の花」でもあります。全国の山野に自生している日本原産の山菜の一つです。
このフキノトウ、注意深く見ると、プツプツに見えるひとつひとつが、小さな花の集合体であることが分かります。
咲き初めは、ぽつりぽつりと1個づつ顔を出し、やがて次々と花を開かせます。
群生すると、ただの空き地が一面のバッケ畑へと変貌を遂げる。そして、花が咲いた後に、地下茎から伸びてくる葉っぱがフキです。
例えるなら、「ばっけ」と「フキ」とは先遣隊と本隊との関係に似ているのかもしれない。「先遣隊」とは、先に現地に派遣され、状況を調査したり、準備をしたりする小規模な部隊のこと。一方、「本隊」とは、その後に到着し、先遣隊が調査した情報をもとに任務を遂行するための大規模な部隊のことを指します。
フキは、このように花と葉柄が、別々の時期に地下から出てくるという特色を持っています。
「ばっけ」には、オス、メスがある
フキは雌雄異株のきく科の植物で、雄株と雌株のフキノトウがあります。オスメスの違いは、つぼみの状態では、なかなか見分けることが出来ません。
開いたフキノトウの中の花の花弁の部分が黄色く、大きめに開いたものが雄しべ。雌の方は、細めで白っぽい雌しべが見えます。雄の方はフキノトウ独特の香りや苦味が強く、雌は弱めになります。
雄株の花は、黄色っぽい色をしていて、すき間無く並びキレイな丸い形をしていて花は全部が一度に咲くのではなく、周りから少しずつ咲き、花茎は花後に枯れます。
雌株の花は、白っぽい色をして、すき間があるので雄花に比べ、いびつな感じがします。花は一気に咲き、花後は徐々に花序を伸ばし高さが45cmくらいになり。初夏にタンポポの綿毛のような痩果が実ります。
また、ふきのとうは,地下茎で増えていくので,同じ地下茎同士で,オスならオス,メスならメスで,近い範囲に、雄株と雌株が同居していないことの方が多い。
「ばっけ」の語源
「ばっけ」という呼び名には、いろいろな説があるようです。
農林水産省「うちの郷土料理」宮城県「ばっけ味噌」のなかに 【「ばっけ」とはふきのとうを指す宮城の方言。】とありますが、宮城県だけじゃありませんよ。青森県や秋田県、山形県といった東北地方では普通に使われています。
バッケ味噌も地域によって、微妙に違うのかもしれない。郷土料理の紹介だから、宮城県と限定したのかもしれないが、ちょっと言葉足らずだったのかな?農林水産省さん。
「ばっけ」の語源を詳しく調べているのが、下記のサイト。
横手方言散歩
三、草・木などの名前にみられる方言
(15) ばっけぁ(ふきのとう)
この中で、江戸時代の紀行家・菅江真澄の『雪の出羽路』の中の「ばっけ」を紹た介している。
「湯沢に行に、たかやとなる雪やや消のこりて、塘に萌るばかい(蕗の子をいへり) ひこひこ(羊蹄草をいふなり)つみありき、かこべ(ちいさやかの竹カゴを、かこべといふ(略))といへるうつはに、つみありく女むれり」 |
要約するならば、「湯沢に行く。まだ積もった雪が少し残っている。土手に生える「ばっけ」「ひこひこ」を摘み、かこべという竹籠に摘み歩く女が群がっている。」といったところか。
羊蹄草。スカンポのことをいうのかとも思ったが、そうでもないような?
調べてみるに、スカンポはスイバというらしいが、それに似たものなんだろう。
ガキの頃、スカンポの若芽に塩をチョンチョンと付けて食べてたなぁ。今は、見つけても食いたいとも思わんが。
『雪の出羽路』の説明は、下記のサイトが詳しい。
言の葉の穴
縄文語から「ばっけ」考察をしているのが下記のサイト
まほらにふく風に乗って
「ばっけ」は、アイヌ語の語源説を唱えているのが、下記のサイト。
北のフィールドノート
いろいろな説があるが、どれが先で、どれが後でとは難しいのかもしれない。庶民が使う、それも方言の語源となると、難しいものなのだろう。縄文人もアイヌ民族も文字を持っていない。つまり文章として残っていないのだから、とりわけ難しくもなる。ということなのかもしれない。
ふきのとうの採り方は?
つぼみが開きかけのものが一番美味しく開き切ってしまうと苦みが強くなります。 根には毒が含まれているので残すようにして、ひねり取るように収穫します。はさみやカッターで採る方が楽です。
フキノトウは新芽のつぼんだ形から、花が開いていくにつれ、葉が硬くなり、エグみが増えるだけでなく、苦味も増していきます。この苦味は、特に雄の雄しべの花粉が増えることによるもので、強すぎると不味いと感じます。若干開きぎみのボンボリを葉っぱが、ある程度包んでいる状態のものを採ることをおすすめします。
フキを食材として使う場合、蕗の茎の根本に近い部分が、黄緑色のものが青ブキ、赤い色をしたものが赤ブキと呼び、赤ブキは硬く青ブキは柔らかいので、青ブキの方が適しています。
ばっけの調理法
春を告げる、苦味と独特な香り。ばっけ味噌、天ぷら、おひたし、和え物。あとは、炒めものやチャーハンやパスタと混ぜたりと、いろいろな料理法がありますが、「ばっけ味噌」と「ばっけのてんぷら」がバッケ料理の2大巨頭といったところでしょうか。
「ばっけ」のアクの抜き方
天ぷらにするのであれば、特にあく抜きは必要ありませんが、フキノトウには、肝機能障害も指摘されてい「ペタシテニン(別名:フキノトキシン)」という発がん物質あります。
根の部分に多く含まれていますが、アク抜きするすることによって、ほとんどが分解されます。
灰汁を抜く方法は、沸騰した湯1リットルに対し、重曹小さじ1(無ければ、塩1つまみ)を加えた湯で5分~10分茹で、水をよく切ってから冷水にさらします。冷水にさらすことで色が鮮やかになります。水に2時間ほどつけると、約6割ほど、20〜22時間ほどで約7割程アクが抜けると言われています。水が黄色く濁っていたら取り替えます。
フキノトキシンは水溶性なので、茹でて水にさらすだけでもアクが抜けるとされています。おひたしや和え物で食べる際にはアク抜きは必要といえます。
ばっけ味噌
ばっけをアク抜きせずに生のまま刻んで炒める方法もあります。苦みを抑えたいのであれば、下茹でして水に晒すすことで、まろやかな「ばっけ味噌」にすることが出来ます。ただし、晒し過ぎると、せっかくの香りが飛んでしまいます。
ふきのとうは、軽くアク抜きをし、水分をしっかりと絞り取りザクザクと刻みます。その方が食感が楽しめます。刻んだフキノトウをフライパンで炒め、味噌と、砂糖・みりんを加え、なおも炒めます。ふきのとうから水分が出てくるので、焦げ付かないよう弱火で炒めます。もし固くなりすぎたら、みりんか料理酒で調整します。
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